茶室の窓は外の景色を眺めるというより、明暗を巧みに取り入れるためのもの。晴天の日、光が多ければ、簾を掛けあえて室内を薄暗くすることで落ち着きを感じます。
「もし日本座敷を一つの墨絵に喩えるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床の間は最も濃い部分である。私は、数寄を凝らした日本座敷の床の間を見るごとに、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光りと陰との使い分けに巧妙であるかに感嘆する」と谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』の中で著しておりますが、お茶室に座していると、この言葉を想います。電気のない時代、古人が室内の光を調整する手段が窓だったのでしょう。