打ち水は、季節によって水の撒き方が違います。夏の暑い盛りには、涼しさを感じるよう何度も打ち水をすることが肝要ですし、逆に冬は寒さを感じない程度、最小限の打ち水でいいとされます。とくに、お客様が歩く飛び石は濡れすぎないよう、また樹木の水はぼとぼと漏れないよう、気をつけています(お茶事では、客の足袋や着物の裾が濡れないよう、飛び石にたまった余分の打ち水をスポンジでふくこともあります。また、厳密には、玄関先に打ち水がされていなければ、亭主の招く準備が整ってないと判断し、入室を控える方もいらっしゃるそうです)。
「水を打つこと、これも数寄者の行にして、常々亭主自ら鍛錬すべし。功者の打たるはひと際うるわしく、潔き風情見ゆるものなり」(茶湯一会集)と、江戸時代の大老で茶人でもあった井伊直弼は書いています。たかが打ち水、されど打ち水です。